群馬県にはかつて、ミヤコタナゴ、ゼニタナゴ、タナゴ、アカヒレタビラ、ヤリタナゴの5種類の在来タナゴ類が生息していましたが、ヤリタナゴを除き姿を消してしまいました。
ヤリタナゴは北海道を除く全国各地に分布し、在来タナゴ類の類のなかでは分布域が広く、生息数も多いタナゴです。環境省のレッドリストにも登載されていません。
しかし、群馬県内でヤリタナゴが生息しているのは藤岡市の岡之郷用水付近のみで、群馬県レッドリストでは『絶滅危惧Ⅰ類(県内で絶滅の危機に瀕している種)』に指定されています。
また、藤岡市ではヤリタナゴを天然記念物に指定して保護しており、また地元の人たちを中心にヤリタナゴとその生息環境の保護活動も行われています。
今日は、毎年この時期の恒例となっているヤリタナゴ観察会が生息地で開催されたので、行ってきました。
この観察会はヤリタナゴの保護に取り組んでいる「ヤリタナゴを守る会」、「ヤリタナゴ調査会」、「やりたなごの会」の共催で行われています。

ヤリタナゴは獲ることが市条例で禁止されていますが、この観察会では自分の手で捕まえて観察することができます。
ヤリタナゴ♂
タモロコ
ドジョウ
ヨシノボリ
カワトンボの仲間の幼虫(ヤゴ)
アメリカザリガニ
藤岡市ではヤリタナゴだけでなく、マツカサガイとホトケドジョウも天然記念物に指定しています。それはヤリタナゴを保護するためには、これらを同時に保護することが必要だからです。
ヤリタナゴはマツカサガイに卵を産み付けます。生まれた仔魚は全長10㎜くらいになるまで貝の中で過ごした後に外に出てきます。一番弱い卵と仔魚の時期を貝という砦の中で守ってもらう戦略です。
マツカサガイ
ヤリタナゴの産卵母貝であるマツカサガイは川底が砂や砂礫質で水量が比較的安定した水のきれいな小河川に生息しています。マツカサガイの幼生はホトケドジョウなどのヒレに寄生して成長します。
捕まえた魚たちを水槽に入れて、じっくり観察しました。
ヤリタナゴは繁殖期を迎えていますので、オスにはきれいな婚姻色がでています。産卵管が伸びているメスもいました。
(もちろん観察終了後、ヤリタナゴはもとの生息地に戻されます)
今回は親子連れを中心に、これまでの最高の100名を越える参加者がありました。身近な自然に対する関心の高さを表しているのでしょう。
タナゴ類は複雑な繁殖生態をもつので保護増殖は他の魚種よりも困難で、地域の人たちの理解と協力が必須です。その意味でも毎年行われているヤリタナゴ観察会は重要だと思います。
ヤリタナゴと仲間たち(藤岡市)
群馬県自然環境情報システム(群馬県)
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