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2006年9月 7日 (木)

鮭と鱒

北海道からは秋サケの定置網漁の話題が聞こえてくる季節になりましたね。
魚に係わる仕事をしていますと「『さけ』と『ます』の違いは何ですか?」という質問を受けたりします。結論を言ってしまえば、「分類学上の違いはありません。」となります。「な~んだ」なんて言わないでね。

古来、日本では「さけ」と言えば、「サケ(シロザケ)」(学名:Oncorhynchus keta)であり、「ます」と言えば「サクラマス(陸封型はヤマメ)」(学名:Oncorhynchus masou)でしたが、北洋漁業が盛んになり、「カラフトマス」(学名:Oncorhynchus gorbuscha)やその他のサケ属魚類が市場に出回るようになると魚屋さんの店頭で「ます」と言えば一般的に「カラフトマス」を指すようになりました。(マス類の淡水養殖の業界では「ます」と言うと「ニジマス」を指すのが普通です。「ます釣り堀」でカラフトマスは釣れないやね。)

Photo_14 背中が盛り上がり、セッパリになったカラフトマスのオス。カラフトマスは身が柔らかくサケ缶の原料として利用されることが多い。

英語の「サーモン:salmon」は「さけ」、「トラウト:trout」を「ます」と訳すのが一般的ですが、必ずしも和名と一致しません。前述の「カラフトマス」の英名は「ピンクサーモン pink salmon」ですし、サケの王様「キングサーモン king salmon」の和名は「マスノスケ(鱒の介:「ますの長官」というイメージ)」です。古い魚類図鑑を見ると、「ベニザケ(英名:red salmon)」は「ベニマス」、「ギンザケ(英名:coho salmon)」は「ギンマス」と書いてあります。このように、日本では「サケ(シロザケ)」を「さけ」と呼び、それ以外のサケ属魚類は「○○マス」と呼んでいたようです。
(余談ですが、魚屋さんの店頭で「トラウトサーモン」とか「サーモントラウト」という混乱しそうな名前の切り身は海で養殖されたニジマスです。)

ところで、利根川をサケが遡り、群馬県まで来るようになったのは、それほど古い話ではありません。利根川は元々、東京湾に注いでいました(現在の江戸川の川筋)。それを江戸時代の国家プロジェクトで現在の流路に変更しました。これを「利根川東遷」と言います。海水温と海流の関係で基本的に東京湾にはサケは入ってきませんから、東遷前の利根川にはサケはいなかったことになります。つまり、群馬県の利根川とその支流でサケが獲れるようになったのは江戸時代以降のことなのです。

サケ科魚類の分類
イトウ属
  ・イトウ
イワナ属
  ・イワナ
  ・オショロコマ など
サケ属
  ・サケ(シロザケ)
  ・カラフトマス
  ・ベニザケ
  ・サクラマス(ヤマメ)
  ・ニジマス など
サルモ属
  ・ブラウントラウト
  ・アトランティックサーモン

Photo_16 サーモンより美味しい群馬の特産、最高級ニジマス「ギンヒカリ」

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コメント

すっごい勉強になりました。
私はスーパーでよくトラウトサーモンを買ってくるのですが、(しかも外人と最後の一匹を争って)海で養殖されたニジマスだったとは。
メモさせていただきました。

投稿: ゆみ姉さん | 2006年9月 7日 (木) 22時28分

おはようございます。
とても面白いお話です。私が狙っているのは、カラフトマス、シロザケ、サクラマス、アメマス。マスって美味しくないと思って育っていましたが、初めてサクラマスを食べた時に「イクラみたい~」と思ったのを覚えています。アメマスはゲーム釣り(美味しくないらしい。)で、リリースが当たり前の雰囲気ですが、私は釣った暁には食べる予定です!

投稿: y-maiko | 2006年9月 8日 (金) 08時38分

ゆみ姉さん

サケは世界中で生産され、世界中で食べられているグローバルな食品です。店頭のトラウトサーモンはチリ産が多いですが、南半球には元々はサケ科の魚は生息していませんでした。
群馬の特産「ギンヒカリ」も機会があったら食べてみて下さいませ

投稿: こにタン | 2006年9月 8日 (金) 21時28分

maikoさん

記事中のカラフトマスの画像は忠類川で私の知り合いが釣った魚です。
そろそろ、シロザケも岸に近づいて来ていますか?
サケ釣りのよい報告をお待ちしています!

投稿: こにタン | 2006年9月 8日 (金) 21時37分

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